子どもの頃に心臓手術を受けたことで、次第に中途失明となった穴澤雄介。たくさんのコンプレックスを乗り越えて、選んだ人生はヴァイオリニスト。演奏だけでなく作曲、編曲も手がけながらライブ活動を行っている。指で触る点字の楽譜。全てのメロディを覚えなければ弾けないハンデ。
明るく前向きな人柄を生かして、講演やYouTubeなどでも活躍する全盲のヴァイオリニスト穴澤が綴る音楽と人生の感動ドキュメンタリー!
小柄な身体を生かして大きな力士と渡り合ってきた元大相撲力士の舞の海秀平との語らいで、「目の前にある困難をいかに乗り越えていくか」を考える。光を失ったことで人並みはずれた想像力と記憶力が育まれた穴澤が続けて語る言葉は……「命にかかわるから」。見えない人たちにとってこの社会が、いかに危険に満ちた場所であるかということを思い出させていく。東京・北京オリンピック・パラリンピックのNHK ユニバーサル放送でスポーツ好き障がい者としてコメンテーターをつとめ、True Colors Festival(超ダイバーシティフェスティバル/事務局:日本財団)にゲスト出演するなど、注目の全盲のヴァイオリニスト穴澤雄介。底抜けの明るさと「心と手がつながった演奏」と評される美しい自作曲の数々。まさに、ダイバー シティ(多様性)とWithコロナの時代を迎えたわたしたちに、未来を生きるメッセージを発し続けている。
[ヴァイオリン奏者/ヴィオラ奏者/作・編曲家/講演家]
1975年千葉県生まれ。心臓と目に障害をもって生まれ、高校時代にほぼ視力を失う。筑波大学附属盲学校高等部本科音楽科、同専攻科音楽家卒業。コロナ以前は年間150本以上のライブ活動のほか、学校関係を中心に年30回以上の講演活動を行う。2020東京・2022北京オリンピック・パラリンピック時のNHKユニバーサル放送TV特番にコメンテータとして出演するなど、ダイバーシティ(多様性)・SDGs時代の要請にも応える。
1961年生まれ。
撮影スタジオの世田谷109スタジオ、西武百貨店を経てビデオソフト黎明期のビデオ企画制作販売までを手掛ける会社に入り、海外映画など数百の商品を手掛ける。
1991年、作家・映画監督 村上龍氏の映画『TOPAZ-TOKYO DECADENCE-』の制作プロデューサーを担当、海外での映画賞やセールスに成功する。俳優・映画監督の勝新太郎氏の依頼で編集した、勝新太郎の最期の舞台『夫婦善哉~東男京女』はリマスター版が日本映画チャンネルで放送公開された。
日本映画TVプロデューサー協会会員。
監督・編集:永田陽介
製作:木下勝世
統括プロデューサー:秋本雅代
制作プロデューサー:平位芳之
構成:桂いちほ
撮影:佐藤 力、霜山和彦
録音:間宮博実
アートディレクション:小林 隆
出演:穴澤雄介、舞の海秀平、野田正純(ピアノ)、木曽保人(陶芸家)、松井雅司(合唱指揮)ほか
2021年9月のコロナ禍中のこと。ライブの記録映像をお願いした永田陽介監督から私自身のドキュメンタリー映画製作の話が持ち上がりました。ほどなく撮影がスタートし、日頃知り合える方とは異なる映像スタッフの皆さんとの楽しいひとときも忘れがたいのですが、スポーツ好き障害者(コメンテータ)でもある私にとって大きな出来事は、なんといっても舞の海秀平さんとの出会いでした。当初ナレーションのみの予定でしたが、「スタジオ録音では私は会えないじゃないか!」と気づき、監督に無理やり対談の場面の追加をお願いしました。もともと大フアンではありましたが、この映画で投げかけているメッセージを、つまり私が普段講演でお伝えしている考えを、土俵の上ですでに成し遂げていらっしゃって尊敬している方なので、どうしても直接お会いしたかったのです(全編対談だけでいいと思ったくらい)。講演に呼ばれるひととか、映画になるひととかって、もっと偉いひとだと思っていました。でもイモムシの私が舞の海さんと親しくお話できちゃったのですよ!! 皆さんもお楽しみくださいね!
人によっては起こってしまった過去の出来事が足かせになって、新しい一歩を踏み出せないかもしれない。人によっては未来に不安ばかりを感じてしまうかもしれな い。そんな時、穴澤雄介さんは言います。「過去は変えられるんだから、失敗を恐れる必要はないですよ」と。この映画の中で繰り返し語られる「人生のヒント」のようなもの。穴澤さんの経験や実践の話に耳を傾けるとき、未来を創るコツが見つかるかもしれません。それはきっと力強い光を放っていると想うのです。音楽の合間に彼の人柄が伝わるような映像を挿入してみたい、という思いが大きくなり、今回、初の劇場用ドキュメンタリーが生まれました。
穴澤さんの第一印象は、「お洒落でこだわりのある人なのだな」ということでした。底抜けの明るさで「どうしてこの人こんなに明るいのだろう」とショックを受けたのです。話をしてみると、相撲の取り口にも詳しく、小兵力士としてあれこれ考え抜いて相撲をとってきた自分との共通点がたくさんあって驚くことばかり。実は穴澤さんに謝らねばならないことがあるのです。対談の後、一緒に弁当を食べたのですが米粒ひとつ残すことなく上手に箸をつかう。実は見えているのではないかと疑ってしまった(笑)。この映画は、若い人たちに見てほしいし、社会に問題を提起する意味ある映画になるのではないかと思っています。
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